deku

Designed by Takuto Ohta

SDIM2983.JPG

人間がモノへ向ける感覚の中に物質的に満たされようとする欲求やフェティシズムを感じる事がある。例えば反発や怒りの矛先をモノへ向けたり、世代を跨いでモノに愛情を注いだり、意味のないモノを保有し続けたり、行動や思想にはモノから受ける多大な影響が見て取れる。中でも「作る」事は身体や精神において極めて重要な行為であり、進化の過程で身体の拡張として肉体から独立したモノ達の存在は人間性の象徴といえる。加速する生産と消費によって人間は生産関係から切り離されてしまい、その結果モノは生活を埋め尽くしていき、モノの無い世界の創造を拒むようになった。モノが持つ言語は次第に主体性を獲得し始めているように人間的に変質をしてゆく反面で、人間は集合としてモノ化することを望んでいるように思える。人間はモノからの解放に夢を見るのか、または非物質的な突破口の新たな拡張性に手を染めるのかもしれない。

[deku(木偶 )]は人間とモノの関係性の原初である「棒」と、続いて発生した紐を用いたオブジェクトである。ものづくりの純粋性と快楽性を河原や山頂に積まれた石に感じるように、プロセスにおいて内在的に素材と行為の間に満たされている何かがある。私は素材に見えた精神性の物質化を試み、人間とモノの主体性と客体性の中で[人間化するモノ]-[モノ化する人間]の新たな関係性を模索した。それは結果として無意味な「木偶の坊」で終わるのかもしれない。あるいは未来で主体性を獲得したモノによって発現するであろう、モノによるモノのための「木偶の棒」となるだろうか。

1.jpg
5.jpg
4.jpg
6.jpg
2.jpg
3.jpg