BEAT

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「BEAT」は身体に装着することで聴診器のように心臓音を受信・出力するデバイスである。心音を通じ個人や集団の心理変化を感知し、新たなコミュニケーションを生み出すことを目的としている。 心臓が鳴るのは生きている証しで、誰しもが平等に有している。そして心臓が奏でる心音は、ジェンダー、人種、年齢などの様々なバックグラウンドに縛られない固有の情報といえる。意識下で動かすことのできない不随意筋肉である心筋から生まれる心音は、私たちが唯一可能な無意識のクリエーションの一つだろう。個人において重要な機能を果たす器官にも関わらず、私たちは生活の中で環境や感情に合わせ細かく変化している心音を意識することはない。私は疑問を感じた。そこで、人生の中で経験するあらゆるシチュエーションの心音を記録し、知ることで人の心理的変化や身体をより理解できるようになると定義した。そして自分自身を見つめる行為であると同時に、他者を新たな視点で見つめ直す新たなコミュニケーションのきっかけになると考えた。

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「BEAT」ができることは胸に取り付け心音を記録することだけである。しかし、その単純な行為が従来の価値観や美学の通用しない新たなプラットフォームを発生させる。現在の人間の平等への意識や感覚は、非常に視覚的でコンテクストを前提とした関係性だと日々の生活で感じる。「BEAT」が記録した心音は聴覚的な立場から新たな角度で多様性を見つめ、複雑化してゆく社会や人口増加というネガティブなイメージを逆手にとることができるだろう。 世界は定常状態を望む。それはミクロに見ると常に変化しているがマクロに見ると変化しない状態を指す。生命は個々に活動や再生を繰り返しながら世界へ居場所を求める続けている。マクロを常に知ることのない小さな私たちにできることは、自分自身の中で繰り返される小さな小さな変化を理解することからなのかもしれない。 

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